なんと愉快で、厳しいトレーニング!
もっと早くこの映画をみていたなら
僕の人生も変わっていたかも知れない。
― 操上和美さん
(写真家)
ピーター・ブルックは想像上の綱の上を俳優に歩かせ、演技はイマジネーションの産物だと説くが、同時に綱の上に立つ不安な状態から生きることの真理を掴み自由になれとも言う。綱の上の自由とは何かを考えなければならない。考え、演技する俳優たちが、一瞬静寂につつまれ、いい表情を見せる瞬間がある。 そういう俳優たちに、”それだ”といった風に頷いてみせるブルックのまなざしが素晴らしい。ブルックは、演技論を通して、自分の人生観を語っているように見える。
― 池端俊策さん
(脚本家/映画監督)
「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古」は“演技とは?” “演出とは?”をめぐる禅問答的ドキュメンタリーとして面白いけど、同時に“自己啓発映画”として興味深かった。作り手の意図を理解したり読み解いたりするのではなく、啓発され、気付きを得る映画。こういうのはめったにない
― 門間雄介さん
(編集者/ライター「CUT」元副編集長)
「自分と同等かそれ以下」みたいな意識が蔓延するなかで、 圧倒的にレベルの上のもの(人)がこの世に存在する」 ということを感得できる、ある種の宗教的な体験でした。
― 30代 出版社編集者
ピーター・ブルックの言葉は、時に哲学的で、豊富な人生観は、俳優でなくとも、人生のいろいろな局面でよすがとしたい、宝石のような言葉に満ち満ちていました。特に、砂時計に時(人生)の流れをたとえるくだりは、肝に銘じました。
― 森明睎子さん
(世田谷パブリックシアター)
この映画をみ終わると、何とも言えない暖かさと勇気が湧いてくる。「演技はいつも喜びに溢れている」これは僕の大事なヒントになる言葉だ。
「演劇は自然主義ではない、そんな重たい方法はとらなくていい。ほのめかすこと。人はなにか意味を匂わされる方が期待し、興味を持ち続ける。ワクワクさせるんだ。」本当に同感です。
そしてピーターブルックは、演じ終わった表現者には、「かつてないほど豊かな真理に直面した。それを糧とするには、自分の基準を引き上げ、さらなる努力が必要なんだ」と暖かい激励を送る優しさがある。
― 大森博史さん
(俳優)
門外不出の稽古風景を見れて、感動しました。最初は、映画化するにあたり映像としてどのようにまとめるのか、稽古風景をどのように見せるのかと疑問でした。いざ見てみると、「綱渡り」という題材に焦点を絞ることによって、ピーター・ブルックの指導論の要点が纏まっており、とても分かりやすい作品に仕上がっておりました。演劇関係のみならず、ダンサーなど、舞台芸術に携わっている方々には是非とも見て頂きたいと思いました。
― 大森千裕さん
(女優)
ブルックの含蓄のある発言。一言、一言、考えながら映像を追いました。演技する俳優とともに与えられた課題に私自身も取り組んでいることにも気づきました。元来、演劇の実践者が演劇論を語るのは最後の段階だと思います。ピーター・ブルックも10年前あるいは20年前だったら、外部には明かさなかった内容だと思います。「頭で考えるのでなく、体が自然に演技として昇華されるような身体行動」を要求していますが、それはスタニスラフスキーの演技指導にも通じるものです。やはり86歳になったブルックが残しておかざるを得ない演劇への想いなのでしょう。「頭で考えるな」という言葉は、逆に「徹底した思考」「身体と一緒になった思考」を要求しているのだと思います。とにかく衝撃的でした。言葉は違いますが、社会的ゲストゥス(身体行動)を強く訴えたブレヒトとも対極において結びつく内容です。
― 嶋田邦雄さん
(ジャーナリスト)
ピーター・ブルック『世界一受けたいお稽古』は極めて良質のドキュメンタリーでした。ドキュメンタリーを見ていると時に居心地がわるくなります。ドキュメンタリーゆえに見え隠れする、制作者側の思考の押し付け(悲劇の主人公や稀代の英雄を描出しようとするような)に耐えられなくなることがあります。この映画はそういうことは全くありませんでした。ピーター・ブルックという人が、そのような脚色を必要としないということでもあるでしょう。「何もない空間」の豊穣さを堪能することができました。
― 俳優・49歳
演劇の稽古風景。ピーター・ブルック氏はとても高度なこと(世界観の提示)を俳優の身体に求め、具現化しようとしている。その貴重な創作技法が垣間見られる意味で、演劇人、必見である。また、別の側面から。表現は、表現者だけのものか?人間は皆、何かを他者に伝えようとする。表現する動物だ。ピーター・ブルック氏が追求する表現は、演劇人だけのものではなく、同時に人間が何を美しいと感じ、何を善と信じ、どう生きようとするかを根源的に見つめているものだ。本作は、真剣に生と死を見つめる演出家の息遣いを感じられる秀作である。
― 劇作家・演出家・42歳
門外不出の稽古風景を見れて、感動しました。最初は、映画化するにあたり映像としてどのようにまとめるのか、稽古風景をどのように見せるのかと疑問でした。 いざ見てみると、「綱渡り」という題材に焦点を絞ることによって、ピーター・ブルックの指導論の要点が纏まっており、とても分かりやすい作品に仕上がっておりました。演劇関係のみならず、ダンサーなど、舞台芸術に携わっている方々には是非とも見て頂きたいと思いました。
― 学生《舞台芸術専攻》・20歳
私の中で、一番印象的に残ったのが砂時計のお話でした。
『自分と観客の時間は過ぎていく』
舞台の裏方の仕事をしているのですが、その言葉を聞いた瞬間、グサっとくるものがありました。まだまだ、追求できる事はあり、砂の一粒一粒の時間も大切にしなければならないと、お客さんの為にまだ出来てない事があったのかもしれないと、自分の中の意識が変わりました。
人生においても同じで、想像力や探究心を鍛える事で、時間の過ぎ方も限界だと思っていたことも、そうではなくなっていくのかもしれない。
もう一度、観たい映画です。
― 舞台スタッフ・31歳
女優の卵気分を味わう予定だったけど、自分が舞台を観るときに 演者の視点や心理を共有するヒントがいっぱいだった!芝居を観る眼が肥えた気がするけど、気のせいじゃないわ。なにより最高なのは、巨匠の教えは全てに通じるものってことよね。
― 杉谷伸子さん
(映画ライター/Twitterより)
演劇関係者に囲まれながら『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』を鑑賞。オレンジ色のシャツを着た爺さんがモノトーンの服を着た俳優達に延々ダメ出しし続ける90分。しかし物書きにとっても参考になる教えが満載。流石レジェンドである。
― 長谷川町蔵さん
(映画評論家/Twitterより)